遠隔診療に関して厚生労働省が新通知
厚生労働省は「情報通信機器を用いた診療」と題した、2017年7月14日付の通知(医政発0714第4号)を、医政局長名で各都道府県知事宛に発出し、「遠隔診療だけで完結する禁煙外来」および、遠隔診療において「電子メール」や「SNS(ソーシャルネットワークサービス)」の利用が可能であることを明確化しました。
この通知では、遠隔診療に対する根本的な考え方や、医師法第20条などとの関係から注意が必要な事項を示した「平成9年遠隔診療通知(平成9年12月24日付け健政発第1075号厚生省健康政策局長通知)」においての遠隔診療の扱い方に関して、情報通信機器の開発・普及の状況を踏まえたうえで再び明確にしています。
通知の具体的な内容
- 平成9年遠隔診療通知では、「直接の対面診療を行うことが困難である場合」として、「離島、へき地の患者」を挙げています。ただし、これはひとつの例にすぎません。
- 平成9年遠隔診療通知で、「病状が安定している患者に対し、患者の病状急変時等の連絡・対応体制を確保したうえで実施することによって患者の療養環境の向上が認められる遠隔診療を実施する場合」としたうえで、在宅酸素療法を行っている患者を対象にする遠隔診療等を挙げていますが、あくまでも例示です。
- 平成9年遠隔診療通知においては、診療とは医師または歯科医師が患者と直接対面して行うことを基本にしています。だが、同通知に示されているように、患者側の利点を十分に考慮したうえで、患者側の要請に基づいて、直接の対面診療と遠隔診療を適切に組み合わせても差し障りはありません。つまり、直接の対面診療を行わなくても、遠隔診療は可能なのです。
- 保険者が実施する禁煙外来については、まずは定期的な健康診断・健康診査が行われていることの確認をしてから、患者側の利益と不利益を十分に考慮した後に医師の判断で遠隔診療をすることができます。対面診療は必ずしも必要ではなく、もちろん直ちに医師法第20条等に抵触するものではありません。
患者側の理由によって診療が中断することとなり、対面診療が行われることなく遠隔診療のみで診療が終了した場合でも、直ちに医師法第20条等に抵触するものではありません。 - 平成9年遠隔診療通知で、患者の心身の状況に関する有益な情報が得られている場合に関しては、遠隔診療を行っても直ちに医師法第20条等に抵触するものではありません。
当事者が医師および患者本人であるとの確認ができれば、テレビ電話、電子メール、SNSなどの情報通信機器を組み合わせた遠隔診療が可能になります。
この場合も、患者の心身の状況に関する有益な情報が得られているのであれば、直ちに医師法第20条等に抵触するものではありません。
主な変更点のまとめ
①②そして③の前半については、2015年8月10日に医政局長名で各都道府県知事に通達された遠隔診療に関する通知に記載された内容と同様の趣旨です。
今回新たに加えられたのは③の後半の記載されている、保険者が実施する禁煙外来に関する部分と④になります。
保険者が実施する禁煙外来に関しては、定期的な健康診断・健康診査が行われていることや患者側の要請に基づくこと、さらに医師の判断によることなどを条件にして、対面診療を行わないで遠隔診療だけで完結させることを認める内容になっています。
また、患者側の理由によって診療が中断してしまい、結果的に禁煙外来が遠隔診療しか行われないようなケースも許されると明示されています。