日本の遠隔医療や関連する医療サービスの発展と振興に寄与する事業を営むことを目的として設立されたNPO法人の「日本遠隔医療協会」。同協会で特任上席研究員として活躍するかたわら、厚生労働行政推進調査事業の遠隔医療研究班のメンバーとしても活躍している長谷川 高志氏に、日本における遠隔診療の現状や課題点、また今後の展望についてお話を聞きました。
遠隔診療で得られる大きなメリット
長谷川氏 - 遠隔診療の導入によって、どんな場所でも都市部と同じような診察を受けられるようになります。交通が不便な地域の住民や、医者が近くにいない過疎地に住む高齢者にとって、便利になることは間違いありません。車を運転して通院する高齢者が抱える事故リスク、長い待ち時間の割に数分で終わる診察といったストレスも回避されるのです。いろいろな負担が軽減されることは大きな魅力ですね。
遠隔であっても医師に診てもらっているという安心感は、心に大きな余裕を与えてくれます。病状悪化の早期発見はもちろん、重症化防止がもたらす生活の質(QOL)の向上といったメリットも期待できます。また、禁煙外来に顕著に見られるケースですが、患者さんにとって医師からのフィードバックは心理的効果が高く、治療のモチベーションにつながるのです。遠隔による定期的診察は、患者さんにいい影響を与えます。
遠隔診療を活用することで、診療後の経過を見守るうえで欠かせない患者さんに対する手厚いフォローアップが可能になります。患者さんが長期療養中ならば、コミュニケーションの強化は必要不可欠。そのためにも少数の専門医で多くの患者さんのカバーができ、診療の効率化が図れるLive Callヘルスケアはいいのではないでしょうか。
ネットワークで結ばれた医療機関同士が患者さんの情報を共有するメリットはいろいろあります。いわゆる ドクター to ドクター(D to D)と呼ばれるものですが、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴断層撮影)などの画像データの共有と、他の医療機関への診断依頼ができます。さらには患者の紹介が従来のように紹介状を患者に持たせるのではなく、必要データを添付送信するだけで済みます。患者の検査情報や、その後の経過に関する情報も、相互の医療機関で共有できるので大変便利です。
日本遠隔医療協会
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